本人らしい意思決定とは? 〜支援付き意思決定〜


『本人らしい意思決定』を目指すために、私たちはあえて『意思決定支援』ではなく、『支援付き意思決定』という言葉で皆さんにお話をしています。

英語ではどちらも『Supported decision making』ですが、『意思決定支援』と日本語に訳されたことが広まったことで、本来の意味とは少しズレて解釈されていることがあるからです。

本来、「意思決定を行うのは本人で、支援する側が決めたり、正しいと思える答えに誘導したりすることではない」という考えから『Supported decision making』はスタートします。

しかし、『意思決定支援』というと、どうしても『決定』することをゴールにして、本人の思いを推測して代わりに決めてあげること、周りが良いと思うことに本人を導いてあげること、と考えてしまうことはありませんか?

確かに、「本人が言葉を発することができなければ、周りが決めてあげなければ仕方ない」「この人には判断する能力がない」と考えてしまう場合もあるかもしれません。

しかし、それはあくまでも最後の手段であって、私たちは、「その人が思いや判断を伝えられないのではなく、その人が伝えられるように私たちができることをやり切れていないからではないのか?」という考えのもと、たとえ言葉がなくても、本人が自ら自分の意思や希望(Wish)を形にして、周りの人に伝えたい、伝えていいんだ、と思ってもらえる関係をつくることが、本人の本心からの意思決定、本人らしい意思決定につながっていくと信じています。

残念なことに、『意思決定支援』は支援する側が主体となって(支援が主体となって)、本人の代わりに物事を決めていくことと捉えている方が多いように思います。

『支援付き意思決定』は、本人を主体とする言葉です。本人の意思決定を主体として、周りの人が決めるのではなく(決めることが支援なのではなく)、本人が本心から意思決定できるように環境を整えること、人間関係を築くことが支援の柱になっていきます。

周りが良かれと思って決める社会から、本人が主導して物事を選択できる社会へ。

本人らしい意思決定に、いかにして私たちは本人といっしょに行き着くことができるかということを、『支援付き意思決定』という視点で考え、行動していくことが大切なのではないでしょうか。